アーモンドとピーナッツを語る上で、絶対に軽視できないのが食物アレルギーの重篤性です。両者は外見が似ていることからアレルギーも同じように捉えられがちですが、医学的な危険度と法的な表示義務には明確な境界線が引かれています。
消費者庁が定める食品表示基準において、ピーナッツ(落花生)はごく微量の混入(コンタミネーション)でも重篤なアナフィラキシーショックを引き起こす危険性が極めて高いため、製品パッケージへの表示が義務付けられている「特定原材料(8品目)」に指定されています。呼吸困難や血圧低下、意識障害など命に関わる急性症状を引き起こすリスクがあり、学校給食や外食産業でも最厳重の管理対象となっています。
一方、アーモンドは表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの(20品目)」に分類されています。ただし、近年日本国内および世界的に木の実類(クルミ、カシューナッツ、アーモンド等)のアレルギー発症症例が急増しており、決して油断はできません。重要なのは、「ピーナッツ(マメ科)アレルギーの人が必ずしもアーモンド(木の実類)で発症するわけではないが、重複して感作されている症例も存在する」という点です。自己判断で代替品として摂取することは避け、医療機関でのアレルゲン特定検査(特異的IgE抗体検査等)を受ける必要があります。
また、インターネット上で散見される「ピーナッツを食べると鼻血が出る」「ナッツ類を食べるとすぐにニキビができる」という俗説についても検証が必要です。医学的にピーナッツが直接毛細血管を破綻させて鼻血を誘発するという科学的根拠はありません。ただし、極めて高脂質な食品であるため、一度に大量摂取すると皮脂腺が刺激されて皮脂分泌が増加し、毛穴詰まりや肌荒れを引き起こす要因にはなり得ます。問題は食材そのものの毒性ではなく、あくまで過剰摂取による脂質代謝のキャパシティオーバーにあります。