使い切れなくなったマニキュアや余った除光液を「液体だから」と洗面台やトイレ、キッチンのシンクに流してしまう行為は、極めて危険なトラブルを引き起こします。自治体の環境衛生部門や清掃事業所も定期的に注意喚起を行っていますが、これには明確な化学的・物理的理由が存在します。
まず挙げられるのが、排水管の閉塞と腐食リスクです。マニキュア(ネイルポリッシュ)は、空気に触れることで溶剤が揮発し、樹脂成分が網目状に固化する性質を持ちます。水で洗い流そうとしても水溶性ではないため水と混ざり合わず、排水トラップや下水配管の内部に強固にへばりつきます。そこに髪の毛や皮脂汚れが堆積することで、短期間で深刻な配管詰まりを招き、高額な修繕費用が発生する事態になりかねません。
さらに見逃せないのが、引火事故と有毒ガスの危険性です。マニキュアや除光液には、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンといった揮発性の高い有機溶剤が高濃度で含まれています。これらは揮発温度が極めて低く、排水管内に充満したガスが何らかの火花や静電気によって引火・爆発を起こすリスクを孕んでいます。下水処理施設の浄化機能を担う微生物を死滅させ、地域の水質環境を汚染する原因にも直結するため、「液体類は絶対に流さず固形化して捨てる」ことが大原則です。