事故を起こさないための経鼻経管栄養の看護手順は、解剖生理に基づいた合理的なステップで組み立てられている。特に致死率の高い誤嚥性肺炎の予防には、体位管理と注入スピードのコントロールが決定打となる。
まず体位について、完全に平らな仰臥位での注入は逆流を誘発するため論外である。ベッドの背上げ角度は経鼻経管栄養の体位はギャッチアップ30〜45度が基本原則となる。ギャッチアップ時は、まず膝を軽く曲げてから背上げを行うことで、身体のずり落ちと腹圧上昇を防ぐ。頸部が後屈していると気道が開いて誤嚥しやすくなるため、枕を調整して軽度前屈位(顎を引いた姿勢)を保たせることが極めて重要だ。もし背上げが困難な拘縮患者であれば、右側臥位をとることで胃の解剖学的構造(幽門部が下になる)を活用し、胃排泄を促進させる。
注入手順においては、栄養剤投与前の白湯フラッシュ(約20〜30ml)でチューブの開通性を確認し、冷たい栄養剤による迷走神経反射や腸管痙攣を避けるため、栄養剤は室温程度(人肌未満)に戻しておく。投与時の経鼻経管栄養の注入速度は、初回や低栄養状態からの再開時には100ml/時程度の低速から開始し、通常維持期であっても200〜300ml/時(1缶200mlなら40〜60分程度)を厳守する。自然滴下で滴下筒を合わせる際はクレンメの微妙な緩みで急速投与に陥りやすいため、微調整が難しい患者や下痢を繰り返す症例では経腸栄養用輸液ポンプの導入が推奨される。
注入終了後は、カテーテル内に栄養剤が残留して細菌繁殖や目詰まりを起こさないよう、20〜30mlの白湯で確実にフラッシュして確実にクランプする。最も重要なのは注入直後の動きである。栄養剤が胃内に滞留している注入終了直後に体位変換やオムツ交換、吸引などの侵襲的処置を行うと、腹圧上昇によって容易に嘔吐・逆流を招く。処置は注入開始前に済ませておくか、注入後最低でも30分から1時間は上半身を起こした安静状態を維持させる。