歴史的事実と現代人のイメージが乖離した最大の原因は、間違いなくハリウッドの存在だ。
映画『クレオパトラ』(1963年)で主演を務めたエリザベス・テイラーの圧倒的な美しさは、世界中の観客の脳裏に「クレオパトラ=ハリウッド女優のような完璧な造形美」という固定観念を植え付けた。豪華絢爛な衣装と煌びやかなメイクは、実在の女王を永遠のポップアイコンへと塗り替えてしまったのだ。
この系譜は現代の伝記映画にも引き継がれている。ガル・ガドットが主演を務める新たな作品構想でも、配役をめぐる議論が世界中で巻き起こった。世紀を超えて映画界が描く女王の姿は、常に「その時代の美の基準」を投影する鏡であり続けている。