ヴェネチア国際映画祭をはじめ世界中の映画賞を席巻した『犬王』は、伝統芸能とロックオペラを融合させるという狂気の沙汰とも言える挑戦で見事な成功を収めた。室町時代の能楽師を現代のロックドキュメンタリーのように描いた挑戦は、日本アニメーション業界全体に強烈な勇気と示唆を与えた。
「ヒット作のパターンをなぞる」という安全志向に陥りがちな現代のアニメ産業において、リスクを恐れずに尖った個性を前面に押し出すスタイルが世界的正当性を獲得したことの意味は大きい。クリエイティビティの多様性を守りながら商業的な成功を収める手法は、今後の業界の方向性を占う重要な指針となっている。