乙骨憂太の強さを語る上で欠かせないのが、生得術式「模倣(コピー)」の精密なシステムと、領域展開「真贋相愛(しんがんそうあい)」のギミックです。
初期のファンブックや『呪術廻戦 0』の時点では「無条件の模倣」と目されていましたが、本編後半においてその厳格な制約が明かされました。模倣を成立させるための絶対条件は、「対象の肉体の一部をリカに捕食させること」です。
捕食する部位の希少性や損害の大きさ(腕一本、指一本など)によって、模倣した術式の使用回数や持続力に制限がかかります。宿儺戦では、虎杖が宿儺の指を回収した事実を逆手に取り、死滅回游の泳者たちの術式(烏鴉の「宇守羅彈」、道を踏み外したシャルルの「未来視」、狗巻の「呪言」など)を自在にスイッチしながら戦線を支えました。
そして彼の集大成が領域展開「真贋相愛」です。領域内には無数の刀が地面に突き刺さっており、乙骨自身がその刀を手に取るまでどの術式が宿っているかは分かりません。しかし、刀を握った瞬間にその術式を即時解放でき、さらに領域の「必中効果」には選択した一つの術式を固定で付与することが可能です。宿儺戦では天使の「邪去悔の梯子」を必中効果に設定し、宿儺の受肉を強制解除寸前まで追い込みました。
なお、現在乙骨の傍らにいる「リカ」は、幼馴染・祈本里香の魂そのものではありません。里香の魂は0巻の結末で完全に解呪・成仏しており、現在のリカは「祈本里香の遺志と外殻を模して遺された外付けの呪力ストレージ兼式神」です。この明確な区別を理解することが、乙骨の精神的成熟を読み解く鍵となります。