一尺は何センチ?曲尺と鯨尺の違いや簡単な換算・覚え方を徹底解説

一尺は何センチ?曲尺と鯨尺の違いや簡単な換算・覚え方を徹底解説

一尺は何センチ?曲尺と鯨尺の違いや簡単な換算・覚え方を徹底解説とはどのようなものなのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。

インターネット上の雑学記事やSNSでは、「一尺は親指と人差し指を広げた長さ(あるいは肘から手首までの長さ)に由来する」という言説が散見されます。しかし、計量史学の専門的見地から検証すると、これは正確な事実とは言えません。

確かに古代中国の殷・周の時代(紀元前1000年以前)、尺の原初的な成り立ちは「大人が手を広げたときの親指の先から中指(あるいは人差し指)の先までの距離」でした。これを身体尺(しんたいしゃく)と呼びます。しかし、当時の殷尺は約16cm〜17cm前後しかありませんでした。

中国の歴代王朝は、支配者が交代するたびに権力を誇示し、また税(布や穀物)の徴収量を実質的に増やすため、国家基準の「尺」を意図的に徐々に伸ばしていきました。隋・唐の時代になると、日常の商業に使う「大尺(約30cm)」と、天体観測や調律に使う「小尺(約24cm)」の二重基準が成立します。

日本が飛鳥時代から奈良時代にかけて大宝律令(701年)を整備した際、遣唐使を通じて導入されたのがこの唐の大尺でした。これがほぼそのまま定着し、現在の約30.3cm(曲尺)の直接の祖先となったのです。つまり、現代私たちが知る一尺は「人間の手の長さ」から直接採寸されたものではなく、東アジアの王朝統治と徴税制度の変遷によって約30cmまで拡大された政治・経済的産物というのが歴史の真実です。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。