ゲレンデ最上部に到達した者だけが息を呑む光景がある。過冷却された水滴がブナの枝に衝突して凍りつく「樹氷」の群生だ。東北の山岳地帯を想起させるこのスノーモンスターの造形美は、独自の地形と気流が生み出す奇跡の産物といえる。
「この厳しい自然環境が育む景観こそが、私たちの町の誇りです」と若桜町観光協会の担当者は言葉に熱を込める。山麓の若桜宿の町並みとスキー場が織りなす冬のコントラストは、滑走を目的としない雪山トレッカーや写真愛好家をも惹きつけてやまない。澄み渡る冬空の「わかさブルー」と純白の樹氷が織りなす陰影は、日常の喧騒を一瞬で忘れさせるほどの神聖さを湛えている。