トヨタ産業技術記念館が他の企業博物館と一線を画す最大の理由は、「動態保存」への徹底したこだわりにあります。館内に一歩足を踏み入れると、金属の擦れ合う心地よい音と油の香りが漂い、稼働当時の工場にタイムスリップしたかのような臨場感に包まれます。
エントランスを抜けて最初に現れる「繊維機械館」は、豊田自動織機を創業した豊田佐吉の情熱を伝える空間です。手紡ぎや原始的な手織機から、佐吉が心血を注いで完成させた世界最高水準の「G型自動織機」、そして現代の高速エアジェット織機までが一堂に並びます。スタッフが目の前でスイッチを入れ、糸が一瞬にして布へと織り上げられていく実演は、大人の知的好奇心を刺激してやみません。
続く「自動車館」は、佐吉の長男である豊田喜一郎が情熱を燃やした自動車事業への挑戦を描く巨大パビリオンです。1936年に誕生したトヨダ初の量産乗用車「トヨダ・AA型乗用車」の精巧な復元モデルをはじめ、当時の木型を用いた板金作業の再現、さらには600トンプレス機の迫力ある稼働実演や最新ロボットアームによる溶接・塗装シミュレーションまで、クルマ作りの全プロセスが立体的に展示されています。
ファミリー層にとって嬉しいのが、体験型施設「テクノランド」の存在です。モノづくりの原理や動力の仕組みを、体を動かしながらゲーム感覚で学べるオリジナル遊具が揃っており、未就学児から小学生まで夢中で遊ぶことができます。知育とエンターテインメントが見事に融合しているからこそ、大人も子供も妥協なく満喫できるのです。