館内の一角に漂うのは、重厚な歴史の重みだ。欧米に追いつけ追い越せと、ゼロから試作エンジンを鋳造した豊田喜一郎の足跡。その妥協なき熱情は、現代の自動車製造業の礎となった。「改善(カイゼン)」や「ジャスト・イン・タイム」に代表されるトヨタ生産方式(TPS)の根底には、無駄を徹底的に排除し、顧客へ最高の品質を届けるというシンプルな哲学がある。
その伝統を受け継ぎつつ、モビリティカンパニーへの脱皮を強烈に推し進めたのが豊田章男だ。「もっといいクルマづくり」を掲げ、モータースポーツの現場で鍛え上げた技術を市販車へと還元するループを作り上げた。創業者の「挑戦の遺伝子」と変革者の「スピード感」。この二つが交錯する場所に立つことで、なぜこの企業がグローバル市場で躍進を続けられるのか、その根底にある強みが解き明かされる。