こうした現場の感覚は、学術的な研究データとも合致し始めている。日本老年医学会などの学術機関でも、超高齢者の診療においては若年層・中年層と同じガイドラインを一律に適応すべきではないという議論が急速に進む。
高齢者医療の世界では、血糖値やコレステロール値を無理に下げすぎることが、かえって認知機能の低下や転倒事故を引き起こす副作用が知られるようになった。身体全体のバランスと生活の質を重視する「老年医学」の知見は、ガイドライン重視の画一的医療から、個人の尊厳に寄り添う個別化医療への転換を強力に後押ししている。