関係各機関や日本性感染症学会の最新報告によると、国内における年間の梅毒新規感染届出数は記録的な高水準に達した2026〜2026年の波以降も、大都市圏を中心に高止まりの様相を呈しています。マッチングアプリの普及による不特定多数との接触機会の増加や、オーラルセックスをはじめとする粘膜接触による感染拡大が要因として指摘されていますが、それ以上に問題視されているのが「初期症状の見落としによる感染連鎖」です。
梅毒は、病原体である「梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)」が皮膚や粘膜の微細な傷から体内に侵入することで発症します。感染後の経過は大きく第1期から第4期に分類されますが、赤い斑点が出現するのは病原体が血液を介して全身へと拡散する「第2期」の段階です。
感染から斑点が出現するまでには、明確な病期の推移が存在します。
- 第1期(感染後約3週間〜):病原体の侵入部位(性器、口腔、肛門など)に、痛みのない硬いしこり(初期硬結)や潰瘍(硬性下疳)、鼠径部のリンパ節腫脹が現れます。しかし、これらは痛みを伴わず数週間で自然消失するため、本人が感染を自覚しないまま第2期へ移行するケースが少なくありません。
- 第2期(感染後約1〜3ヶ月〜):梅毒トレポネーマが血液循環に乗り、全身の毛細血管へと拡散。このタイミングで皮膚や粘膜に多彩な発疹を引き起こし、その代表格が「バラ疹(ばらしん)」と呼ばれる赤い斑点です。