鈴木雅之がメディアやステージ上で決してサングラスを外さない背景には、偶然や気まぐれではなく、明確な心理的動機とセルフプロデュースの哲学が存在します。本人が音楽雑誌のインタビューや対談番組で明かしてきた証言を総合すると、理由は大きく3つの要素に集約されます。
第1の理由は、「根極端なシャイネス(内向性)の克服」です。本人の過去のインタビュー発言によると、彼は少年時代から人前に出ると緊張してしまう非常に照れ屋な性格でした。「素顔のままだと、お客さんの目をまっすぐ見て愛を歌うことが照れくさくてできない。しかしサングラスをかけた瞬間、自分の中のシャイな鈴木雅之が消え去り、ステージに立つべきヴォーカリストへと完全に切り替わる」と語っています。サングラスは彼にとって、表現者としてのスイッチを入れるための「心理的な鎧」なのです。
第2の理由は、「ラヴソングの世界観を守る徹底した美学」です。鈴木雅之の代名詞である大人のアーバンなソウルミュージックや失恋のバラードにおいて、歌い手のプライベートな生活感や素朴すぎる表情が見えてしまうと、楽曲が持つロマンティシズムが損なわれる危険性があります。リスナーに楽曲の主人公になりきってもらうため、自らを「記号化」し、生活感を遮断するフィルターとしてサングラスを位置づけています。
第3の理由は、「ファンに対する約束とエンターテインメントの継続性」です。デビューから40年以上にわたり築き上げてきた「鈴木雅之というアイコン」を裏切らないこと、ステージに立ち続ける限り完璧なビジュアルで夢を見せ続けることが、自身のファンに対する最大のリスペクトであると公言しています。