完全な自由が保障されているからこそ、在校生たちが日常的に何を着て過ごしているのかは、受検を検討する中学生にとって最大の関心事だろう。現場の観察調査および在校生への聞き取りから、男女別のリアルな日常風景が浮かび上がってきた。
女子生徒のトレンド:圧倒的支持を集める「なんちゃって制服」のグラデーション
青山高校の女子生徒の間で広く親しまれているのが、民間ブランド(EASTBOY、CONOMiなど)のアイテムを自分で買い揃えて着用する、通称「なんちゃって制服」だ。特に入学直後の春先、新高校1年生の女子生徒における着用率は約70〜80%に達する。
「中学校までは全員が同じ制服だったので、高校に入って急に毎朝の私服を考えるのはハードルが高い」「高校生のうちしかブレザーやチェックスカートを着られないから楽しみたい」という声が取材でも多く聞かれた。リボンの色やカーディガンのブランド、スカートの柄を自分の好みに応じて自由にコーディネートできる点は、指定制服にはない大きな魅力といえる。
ただし、学年が進行するにつれて服装の比率は変化していく。高校2年生、高校3年生と学年が上がるにつれ、なんちゃって制服の着用頻度は徐々に低下し、スウェットやデニム、ワンピースといったカジュアルな私服が主流を占めるようになる。部活動や学校行事(外苑祭など)の準備で多忙を極める時期には、動きやすさを最優先したジャージスタイルで終日過ごす生徒も珍しくない。
男子生徒の服装スタイル:機能性とカジュアル志向が融合
一方、男子生徒の日常スタイルはきわめて合理的だ。新入生の男子においても、中学校時代の詰襟やブレザーのボタンを付け替えて着用する生徒がごく一部見られるものの、全体の9割以上が最初から完全な私服で登校している。
定番となっているのは、パーカーにチノパンやカーゴパンツ、夏場であればシンプルなTシャツにスニーカーという王道のストリート系・カジュアル系スタイルだ。男子生徒の多くは「動きやすさ」と「洗濯のしやすさ」を重視しており、陸上部やサッカー部、バスケットボール部などの運動部に所属する生徒は、部活動で揃えたポロシャツやジャージを通学時から着用して過ごすケースが日常化している。女子生徒のような装飾的なこだわりを持つ生徒がいる一方で、無頓着に近いラフな格好を通す生徒も共存しており、互いの服装を揶揄したり同調圧力をかけたりしないドライで寛容な人間関係が根付いている。