『あいさつの魔法。』と「ポポポポーン」をめぐる世論の反応を振り返ると、時期と状況によって大きく二極化しています。ネット上の掲示板やSNS、知恵袋などに蓄積された生の声からは、当時の特殊な社会状況と人間の心理防衛メカニズムが浮き彫りになります。
震災直後のネット上では、緊迫したニュース特番の合間に過剰な頻度で流れるポップな音楽に対し、「耳から離れなくて気が狂いそう」「不謹慎に感じてしまう」といった一種の感覚過敏やストレス反応を示す書き込みが散見されました。未曾有の国難の中で感じていた不安や恐怖と、陽気なキャラクターのギャップが認知的不協和を引き起こしていた形です。
一方で、時間の経過とともに評価は大きく反転しました。「あの暗闇の中で、ポポポポーンの明るさにどれほど救われたか分からない」「子どもたちがCMに合わせて歌って笑顔を取り戻した」という感謝の投稿が急増。YouTubeやニコニコ動画では、キャラクターを題材にした創作動画が数千万回再生を記録し、困難な時期を乗り越えるための「連帯のシンボル」へと昇華していきました。
2026年の視点でこの現象を捉え直すと、過度な反復による一時的なアレルギーはあったものの、CMが伝えたかった「挨拶で人と人がつながる温もり」という本質的なメッセージは、世代を超えてポジティブに継承されていると言えます。