エアコンの送風口にゴキブリの姿を捉えた際、最も反射的にやってしまいがちな行動が、手元にある市販の駆除用エアゾール(スプレー)をルーバーの奥へ直接吹き付けることです。しかし、この行為は重大な事故を招く危険をはらんでいます。独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)や全国の消防局からも繰り返し注意喚起が出されている通り、エアコンゴキブリ駆除スプレーNG理由の最たるものは「引火およびトラッキング現象による火災事故」です。
一般的な殺虫スプレーや瞬間凍結スプレーの噴射剤には、LPガス(液化石油ガス)やDME(ジメチルエーテル)といった可燃性ガスが大量に使用されています。エアコン内部には、ファンのモーター、電源端子、プリント基板などの電気部品が密集しています。通電中や静電気が発生した状態で可燃性ガスが内部に滞留すると、リレー接点の微小な火花に引火し、「ボン」という爆発音とともに室内機が炎上する事故に直結します。また、スプレーに含まれる油分や溶剤が電装基板に付着することで絶縁劣化を引き起こし、数日後にトラッキングショートを起こして発火する二次災害も報告されています。
もう一つの注意すべきアプローチが、室内で焚く「くん煙剤」や「くん蒸剤」です。手軽に部屋全体の害虫を一網打尽にできる手段として重宝されますが、エアコンくん煙剤注意点を把握しておかなければなりません。精密機器であるエアコンに煙が直接入り込むと基板故障の原因となるため、使用時はエアコンの電源プラグを抜き、ビニール等で養生するのが基本ルールです。しかし、養生してしまうと当然ながら「エアコン内部に潜むゴキブリには煙が届かない」というジレンマに陥ります。無理に煙を吸わせようと稼働させたまま使用すると、パニックを起こした個体がさらに基板の奥へ逃げ込んで感電死し、ショートの原因になったり、内部で腐敗して悪臭を放ったりするトラブルを引き起こすため注意が必要です。