アロセリア ラ パンサを訪れたら絶対に避けて通れないシグネチャーディッシュが、「本場バレンシア風パエリア(Paella Valenciana)」です。日本の多くの飲食店で提供されているパエリアは、エビ、ムール貝、アサリなどの魚介類にサフランで黄色く色付けされたものが主流ですが、発祥の地バレンシアにおける伝統的なパエリアは「山の幸」を主役とします。
具材には、骨付きのウサギ肉、鶏肉、モロッコインゲン、ガラフォン豆(大粒の白インゲン豆)を用い、フレッシュなローズマリーの香りを纏わせます。魚介スープではなく、肉と野菜をじっくり炒めて抽出した旨味濃厚なソフライ(出汁ベース)をお米一粒一粒に吸わせていきます。
さらに圧巻なのが、お米の厚みと「ソカラ(Socarrat=おこげ)」の焼き加減です。本場仕込みのパエリアパンには、お米がわずか数粒の厚さで均一に薄く広げられています。火力を繊細にコントロールしながら炊き上げられたソカラは、決して焦げ臭くなく、香ばしいキャラメリゼのような旨味の凝縮体となっています。スプーンで底をこそげ取りながら口に運んだ瞬間に広がるハーブの芳香と凝縮された肉の旨味は、従来の「パエリア観」を鮮烈に塗り替えます。