水野というキャラクターを唯一無二の存在に押し上げたのは、俳優・椎名桔平の圧倒的な演技力と色気です。黒の高級スーツをスタイリッシュに着こなし、低音のドスの利いた声で淡々と暴力を行使する姿は、歴代のヤクザ映画の若頭像を大きく塗り替えました。
撮影当時、北野武監督は「観客が予想もしない殺し方」を徹底的に追求していました。水野の処刑シーンについて、椎名桔平は後のインタビューで「首にロープを巻かれた状態での撮影は、頭では安全だと分かっていても本能的な恐怖があった」と振り返っています。
実際の撮影現場では、精巧に作られたダミー人形とCG技術、そして巧みなカメラアングルを組み合わせ、車が急発進する緊迫感を実写で演出。北野監督の現場ならではの「テストなしのぶっつけ本番」「過度な説明を省いた編集」により、血生臭いリアルな衝撃映像が完成しました。
椎名桔平はこの演技が高く評価され、映画賞の助演男優賞にノミネートされるなど、彼のキャリアにおいても代表的な当たり役となりました。