エルメスのフレグランス史を語る上で欠かせない伝説的調香師、ジャン=クロード・エレナ。彼がエジプトのアスワンに浮かぶ島々を訪れ、生い茂る自然とナイル川の瑞々しい生命力に着想を得て創り上げたのが「ナイルの庭」です。
最大の特徴は、一般的な香水に見られる重厚な甘さを徹底的に排除した、水彩画のように繊細で透明感のあるノート構成にあります。キーノートとなるのは、熟す前の青い果実を思わせる「グリーンマンゴー」。そこに睡蓮(ロータス)のみずみずしいフローラル、さらに芳醇なシカモアウッドやカラムス(ショウブ)が重なり合い、川辺の微風を肌で感じているかのような心地よい爽快感をもたらします。
過度な自己主張を嫌う日本人にとって、この主張しすぎず、それでいて凛とした気品を残す佇まいはまさに理想形。エルメスが提案する「庭シリーズ」の金字塔として、今なお揺るぎない支持を集めています。