個人投資家に決定打となる打撃を与えたのが、日産自動車配当金減配の発表でした。従来、同社株は配当利回り4〜5%を超える「高配当利回り銘柄」として、長期保有を前提とする多くの個人株主やNISA口座の資金を惹きつけてきました。しかし、キャッシュフローの急激な悪化を受けて中間配当が見送られ、期末配当の減額・無配懸念が現実味を帯びたことで、インカムゲイン目当ての資金が一斉に流出するパニック売りを誘発しました。
株価が下落基調を強める中で、SNSやネット掲示板では「日産は倒産するのではないか」という過激な憶測が飛び交っています。しかし、有価証券報告書や財務諸表を冷徹に精査する限り、この日産倒産リスク真相は「ネット上のセンセーショナリズムが生んだ明確な誤解」であると断言できます。
自動車事業単体における手元資金(現預金および短期有価証券)は約1.4兆円規模を維持しており、金融機関との間に設定された総額1兆円超の未使用コミットメントライン(融資枠)も確保されています。1999年の経営危機時とは異なり、直ちに資金ショートを起こして破綻する危険性は皆無に近いと言えます。市場が懸念しているのは「倒産」ではなく、収益力低下に伴う格付け機関による社債格下げ(ジャンク債への転落リスク)と、それに伴う資金調達コストの上昇です。