そもそもDCブランドとは何の略なのでしょうか。正解は、デザイナーズ(Designers)ブランドとキャラクターズ(Characters)ブランドの頭文字を組み合わせた和製英語です。1970年代後半から1980年代にかけてアパレル業界やファッションメディアの間で定着し、日本の服飾文化を大きく塗り替えました。
この2つのカテゴリーには明確な役割の違いが存在します。
- デザイナーズブランド(D):川久保玲氏や山本耀司氏のように、デザイナー個人の美学、哲学、カッティング技術を極限まで投影した前衛的なクリエイション。欧州のオートクチュールやプレタポルテの系譜を引く作家主義。
- キャラクターズブランド(C):特定のデザイナー名を前面に出すのではなく、統一された世界観、ロゴ、キャラクター(象徴的なイメージ)を軸に企業主導で企画されたトータルウェア。消費者の共感やライフスタイルを刺激する戦略が採られました。
後年台頭したセレクトショップとの違いは、ビジネスモデルの根本にあります。DCブランドは、自社のアトリエでデザインから製造までを一貫して手がけ、直営店や百貨店フロアに独自の閉じた世界観(ブランドショップ)を構築して販売しました。これに対し、ビームスやユナイテッドアローズに代表されるセレクトショップは、国内外の多様なブランドを独自のフィルターで買い付け、編集・提案する小売業態です。自らの世界観に顧客を引き込む「一神教」的なDCブランドに対し、セレクトショップは「編集力」を価値とする開かれたプラットフォームという違いがあります。