森下千里氏のキャリアは、非常にダイナミックな転身の連続でした。愛知県名古屋市出身の彼女は、名古屋女子大学中学校・高等学校を経て名古屋学院大学経済学部へと進学(のちに中退)。2000年前後に芸能界入りすると、「レースクイーン・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなどトップレースクイーンの過去を持ち、抜群のスタイルと親しみやすいキャラクターで一気にブレイクを果たしました。
その後は女優業やバラエティタレントとして多数のテレビ番組で活躍しましたが、30代後半を迎えた頃から自身の将来像に深い葛藤を抱くようになります。2019年12月31日、所属事務所との契約を合意解除し、芸能界引退を正式に発表しました。当時語られた引退の理由について、本人は特番のインタビューや手記において次のように述懐しています。
「バラエティで求められる役割を演じることに誇りは持っていたが、消費されていくだけの毎日に限界を感じていた。農業や食育を学ぶなかで、自分の言葉と足で誰かの力になれる実業や社会活動に人生の後半を使いたいと考えた」
芸能活動と並行して「一般社団法人シードマイスター協会」の理事を務め、食育や農業振興に関する資格を取得。自ら土に触れ、地方が直面する過疎化や第一次産業の担い手不足を肌で知ったことが、政界進出への決定的な引き金となりました。きらびやかなスポットライトを自ら手放し、泥臭い政策の現場へと舵を切った背景には、長年培われた問題意識と覚悟が存在していました。