プリキュアシリーズの歴史において、変身シーンは作品の象徴であり、最大のカタルシスを生み出す見せ場です。その中で『スター☆トゥインクルプリキュア』が打ち出した「スター☆トゥインクルプリキュア 変身曲」に乗せて戦士自身が歌うスタイルは、まさにシリーズの常識を覆すコペルニクス的転回でした。
劇中で流れる変身楽曲『スターカラーペンダント!カラーチャージ!』は、作詞を手掛けたスタッフ陣と音楽プロデューサーが「変身シーンそのものをひとつのミュージカルナンバーにする」という明確なコンセプトのもとで開発されました。従来のプリキュアでは、勇壮なオーケストラサウンドやシンセサイザーのメロディに合わせて「プリキュア・オープン・マイ・ハート!」や「レッツ・ラ・まぜまぜ!」といった掛け声を発するのが通例でした。しかし、スタプリでは「スターカラーペンダント! カラーチャージ! 煌めく星の力で憧れの私描くよ トゥインクル トゥインクル プリキュア〜♪」という歌詞を、各キャラクターが自身の声で高らかに歌い上げます。
当時のアニメ誌や制作スタッフのインタビューによると、この演出は「子どもたちが玩具を持ちながら一緒に歌い、変身への没入感を極限まで高める」という狙いから生まれました。星奈ひかる役の成瀬瑛美をはじめとする声優陣のレコーディングでは、単なる歌唱にとどまらず、変身の各アクション(メイクアップ、コスチューム装着、髪型の変化)に合わせて息づかいや抑揚を緻密に調整する作業が徹底されたと記録されています。
作画監督陣が手がけた「キュアミルキー 変身バンク」や「スタートゥインクルプリキュア 変身シーン」の美麗なカメラワークと、歌のクライマックスが完全にシンクロするカタルシスは、変身アニメーションの金字塔として今なお圧倒的な支持を集めています。