情報空間には、過度な不安を煽るデマや、逆に制度を甘く見た危険なアドバイスが氾濫しています。現場の法運用と乖離した3大誤解を解き明かします。
誤解1:「就労したらその分だけ保護費が引かれて意味がない」
「働くだけ損をする」という言説は制度設計の無理解によるものです。就労によって得た収入には勤労控除(就労控除)が適用されます。得た給与の全額が差し引かれるのではなく、一定額(月額数万円程度)は受給者の手元に残る仕組みになっています。つまり、全く働かない状態よりも、短時間でも働いて収入申告を行った方が、世帯として使える総額は確実に増える設計になっています。
誤解2:「海外旅行や国内旅行は完全に違法である」
法律上、旅行そのものを一律に禁止する条項はありません。しかし、生活保護海外旅行の制限が事実上存在する理由は、「渡航費用をどうやって工面したのか」という資力調査の観点からです。何十万円もする渡航費を出せるのであれば、「申告していない隠し資産があるのではないか」と疑われるのは避けられません。親族の冠婚葬祭など正当な理由で遠出をする際は、事前にケースワーカーへ旅費の出所と日程を明示して承認を得ておく必要があります。
誤解3:「家族からの少額の仕送りやPayPay送金なら報告不要」
デジタルマネーの普及に伴い増えているのが、知人や親族からのアプリ送金・電子ギフト券の受け取りです。「現金を手渡しされたわけではないから記録に残らない」という考えは致命的な間違いです。福祉事務所は金融機関への照会権限を有しており、デジタル送金の出入金もすべて捕捉対象となります。名目を問わず、金銭的価値の贈与を受けた場合はすべて「収入」として申告しなければなりません。