一方の片岡愛之助もまた、猛烈な逆風と無用なスキャンダリズムの渦中に立たされていた。伝統芸能の看板を背負う者として、歌舞伎の舞台を穴を開けるわけにはいかない。私生活の混迷が本業に影響を与えることを極力避けようとする姿勢は、時に冷淡とも受け取られ、バッシングの標的となった。
だが、歌舞伎役者としての生き様は苛烈だ。芸の道に生きる人間としての腹の括り方、そしてのちに結婚へ至る藤原紀香との関係など、彼の選択は常に世間の好奇の目に晒され続けた。批判を一身に浴びながらも、舞台上で圧倒的な存在感を示し続けることでしか、彼は己の正当性を証明する道がなかったのだ。