教育界に詳しくない人にとって、最も混同されやすいのが全日本教職員組合(全教)と日本教職員組合(日教組)の違いです。両者はともに教職員の待遇改善や教育環境の向上を掲げる労働組合ですが、その生い立ちと依拠するナショナルセンター(中央組織)には明確な一線が画されています。
歴史を遡ると、かつて日本の教職員組合は日教組にほぼ一本化されていました。しかし、1980年代後半の労働戦線再編に伴い、労働界の主流が「連合(日本労働組合総連合会)」へと合流する過程で、組織内の路線対立が決定的なものとなりました。労使協調路線や旧民社・社会党系を中心とする連合への合流に反対した左派・革新系の教員グループが、1989年に日教組を脱退。そして1991年3月に新たな全国組織として結成されたのが全日本教職員組合(全教)です。
この結成経緯の違いは、現在の上部組織の違いに直結しています。日教組が日本教職員組合として連合に加盟しているのに対し、全教は明確に全労連(全国労働組合総連合)を構成する中核組織として位置づけられています。政治的スタンスにおいても、日教組が立憲民主党や国民民主党との関係が深いのに対し、全教は日本共産党や無党派革新層と政策的・理念的な親和性が高いという特徴を持っています。