極めて高い完成度を誇る本作ですが、日常の機微を描いたリアリズム作品であるがゆえに、鑑賞者の求めるエンターテインメントの方向性によって受け止め方が劇的に分かれます。視聴前に知っておくべき適性基準を以下に提示します。
本作を心からおすすめできる人の条件
- 言葉にできなかった青春の苦い記憶がある人:「あの時、素直に好きだと言えなかった」「意地を張って親友と衝突した」という過去の痛みを肯定したい人。
- 日常の空気感や心理描写を重視する人:起承転結の派手なカタルシスよりも、登場人物の視線の交差や背中の演技から感情を読み取るのが好きな人。
- 90年代のレトロカルチャーやシティポップの質感を愛する人:当時のファッション、音楽、街並みの美しさを映像美として堪能したい人。
鑑賞にあたって慎重になるべき人の条件
- 分かりやすい勧善懲悪やスカッとする展開を求める人:里伽子の身勝手さや拓の不器用さに最後まで感情移入できず、ストレスを感じてしまう可能性があります。
- ファンタジーや壮大なスペクタクルをジブリに期待している人:魔法や冒険は一切登場しない完全なリアリズム作品であるため、肩透かしを食う恐れがあります。
- 明快な白黒の決着がつかないと納得できない人:二人が結末の後にどのような関係性を築いたのかは鑑賞者の想像に委ねられているため、曖昧さにモヤモヤする人には不向きです。