「おしりの真ん中の骨 痛い」という訴えで医療機関を訪れる患者の背景は、大きく三つに分かれる。一つ目は外傷。転倒して尻もちをつく、階段で滑る、スポーツ中の衝突などによる尾骨打撲や尾骨骨折が典型例だ。特に冬季の路面凍結や、高齢者の転倒では頻度が上がる。二つ目は慢性的な圧迫。長時間のデスクワーク、硬い椅子、自転車のサドルなどによる持続的な圧迫が尾骨痛を引き起こす。三つ目は出産に伴う変化。妊娠・出産時に骨盤が広がり、尾骨周囲の靭帯や筋肉が伸展されることで、尾骨 産後 痛みが生じることがある。
痛みの性質もさまざまだ。座ると痛い、立ち上がる瞬間に痛い、排便時に痛い、椅子から立ち上がるときに鋭い痛みが走る、といった具合である。中には尾骨 腫れや尾骨 出っ張りを自覚するケースもある。腫れや出っ張りが強い場合は、骨折や脱臼、まれには腫瘍性病変の可能性も否定できないため、自己判断は禁物だ。
興味深いのは、レントゲンで尾骨骨折が確認されても痛みが軽い人もいれば、画像上所見が乏しいのに強い尾骨痛を訴える人もいる点である。痛みの強さは骨の損傷度だけでなく、周囲の靭帯・筋肉の緊張や、中枢神経系の痛み感受性の変化にも左右される。このため、治療は画像所見だけでなく、患者の生活背景や痛みの出方を含めた総合判断が求められる。