日本髪の結い方は、一見すると複雑怪奇に見えますが、構造を分解すると「頭部を5つのブロックにブロッキングし、中央の土台に集めて固定する」という明快なプロセスで成り立っています。
ステップ1:ブロッキング(髪のパーツ分け)
コームの柄を使い、髪を以下の5区画にブロッキングしてダッカールで仮留めします。
- 前髪:黒目の外側を結んだ三角形のゾーン。
- 右鬢(びん):右耳の付け根から頭頂部へ向かうラインの前側。
- 左鬢(びん):左耳の付け根から頭頂部へ向かうラインの前側。
- 髱(たぼ):盆の窪(ぼんのくぼ=後頭部中央のくぼみ)より下の襟足部分。
- 髷(まげ)の土台:頭頂部〜後頭部中央に残ったもっとも毛量の多いゾーン。
ステップ2:根(土台)を結び、髱(たぼ)を立ち上げる
まず、中央の毛束を高めの位置(ゴールデンポイント)で太いゴムを使い、きつく結びます。これがすべてのパーツを固定する「根(ね)」になります。次に、襟足の「髱」に薄く広げたすき毛を乗せ、下から上へと包み込むように持ち上げて、中央の「根」のゴムに向かってアメピンでしっかりと固定します。
ステップ3:左右の鬢(びん)を膨らませて合流させる
左右のサイドに、あらかじめ成形したすき毛を当てます。表面の髪をコームで丁寧に梳かし、面をピシッと整えながらすき毛を包み込みます。毛束を後方へ引き、中央の根の結び目に巻き付けるようにしてピンで留めます。左右の張り出し角度が均等になっているかを鏡で左右交互に確認することが重要です。
ステップ4:前髪をふっくらと立ち上げる
前髪部分に小さめのすき毛をかませ、根元を少し立ち上げるようにして後方へ流します。成人式であれば面を滑らかにして大人っぽく、七五三であればやや高さを出して愛らしく仕上げます。毛先は同様に中央の根へ合流させます。
ステップ5:髷(まげ)を作り、髪飾りで仕上げる
集まった毛先と根の毛束を使い、トップに「髷」を形成します。毛束を2つに分けて交差させ、輪を作ってピンで留める「文金風の髷」や、すき毛を巻き込んで丸みを持たせる「丸髷風」など好みの形に整えます。最後に、全体の乱れをスーパーハードスプレーで固め、毛先やピンの結び目を隠すように「かのこ」や「ちんころ」を結びつけます。