中島哲也監督といえば、『下妻物語』や『告白』で見せた圧倒的な映像美とエディティングセンスで知られる。本作において監督が仕掛けたのは、幽霊や怪異以上に恐ろしい「人間の偽善」だ。そこにサイコホラーとしての本質が宿っている。
フリーライターの野崎を演じた岡田准一の存在感は際立っていた。かつてのヒーロー像を完全に脱ぎ捨て、荒んだ生活に身を投げながらも、人間の汚さとわずかな良心の間で揺れ動く男を泥臭く表現。彼を取り巻く登場人物たち——妻夫木聡演じる完璧主義の仮面を被った夫、黒木華演じる抑圧された妻、そして小松菜奈や松たか子が演じる霊能者たちの怪演が、観る者の倫理観を徹底的に揺さぶる。