従来、特別な支援を要する生徒の教育は個別の場で行われることが多かった。しかし、西郷氏が目指したのは、障害の有無や得意・不得意にかかわらず、同じ空間で共に学び合うインクルーシブ教育の完全な体現だった。文部科学省が掲げる「個別の指導計画」や「多様性を包摂する学校づくり」の先を行く実践が、すでに公立中学校の現場で行われていた事実は強いインパクトを与えた。
学校の中に「居づらい場所」を作らない工夫と、一人ひとりの選択を尊重する姿勢。2026年現在、国が推進するデジタル技術を活用した個別最適な学びの議論においても、西郷氏が示してきた「人の温もりと信頼をベースにしたインクルーシブ教育」のあり方が、不可欠な土台として参照されている。