農村での暮らしは、都市部のような「完全なプライベート」が存在しない。草刈り、水路の掃除、祭りの準備、消防団の活動など、無償の共同労働によって地域インフラが維持されているからだ。これらは任意参加と謳われつつも、実質的には強制である。
「自分のペースで農業をやりたい」と考えて移住した「ひとり農業」の実践者にとって、これらの過度な共同労働は大きな負担となる。一方で、地元住民からすれば「汗を流さない奴に、水を使う資格はない」という論理になる。個人の自由を重んじる都市型の価値観と、相互監視と連帯で成り立つ農村型の価値観が、正面から衝突しているのだ。