与田祐希のドラマにおける演技力が最も鮮烈に示されたのは、間違いなく『量産型リコ』シリーズです。本作で彼女が演じた小向璃子は、突出した才能があるわけでもない、いわゆる「量産型」の一般的なOL。プラモデル作りという趣味を通じて、少しずつ自分自身の生き方や人間関係を再構築(ビルド)していくプロセスを描いています。
テレビ東京の制作陣が当時の公式インタビューで明かした通り、この作品の核心は「派手な事件が起きない日常の機微」にあります。与田祐希は、大きな感情の爆発に頼ることなく、視線の泳ぎ方、ため息の温度、プラモデルのパーツを切り離す際の手元の集中力といった微細なしぐさで璃子の内面を雄弁に物語りました。この「引き算の美学」とも言える自然体の芝居こそが、視聴者の深い共感を呼んだ最大の要因です。
一方で、『日本沈没 -希望のひと-』で見せた演技は対照的でした。国家崩壊の危機という非日常の極限状態において、彼女が演じた山田愛は「守るべき市井の人々の象徴」でした。被災者としての不安や恐怖、大切な人を案じる切迫した眼差しは、大作ドラマの重圧に屈しない芯の強さを感じさせ、与田祐希の演技に対する評判を一気に玄人筋へ知らしめる契機となりました。