「箱に入れて暗所にしまっていたのに、なぜ壊れるのか」と納得がいかない方も多いはずです。しかし、実はその「箱に入れっぱなし」という環境こそが、加水分解を急速に推し進める引き金になっています。
加水分解を引き起こす決定的な原因は、目に見えない空気中の湿気(水分)です。日本は世界的に見ても年間の平均湿度が高く、梅雨から夏季にかけては湿度が80%を超える日も珍しくありません。密閉された暗い下駄箱や押し入れは湿気が停滞しやすく、ポリウレタンにとってはまさに加水分解の培養温床と化します。
合皮製品で頻発する不快なベタつきも、この加水分解が直接の原因です。表面のポリウレタン樹脂が空気中の湿気によって低分子化し、液状に近い粘着成分が表面に滲み出てくることで、触れただけで手が汚れるようなベタつきが発生します。さらに、着用時に付着した皮脂や汗、大気中の油分が付着したまま放置されると、汚れ自体が水分を抱え込み、劣化スピードは何倍にも跳ね上がります。