作品に登場するもうひとりの特筆すべき女性キャラクターが、幽助の師匠である幻海(げんかい)です。普段は毒舌でシワだらけの小柄な老人の姿をしていますが、暗黒武術会編の死々若丸戦などで見せた「若返った姿」は、読者に強烈なインパクトを与えました。
幻海が若返る理由は、彼女が極めた「霊光波動拳」の特質にあります。霊光波動拳は人体の潜在能力を極限まで引き出す拳法であり、霊力を最大まで高める過程で、肉体が最も充実していた20歳前後の状態へと細胞が一時的に活性化するのです。この設定により登場した若き日の幻海は、誰もが息を呑むような超絶美女として描かれました。
かつて戸愚呂弟と志を共にしていた若き日の姿には、単なる美しさだけでなく、どこか物悲しい陰影が漂っています。老練な師匠と可憐な美女というギャップの妙は、読者のフェティシズムを刺激すると同時に、戸愚呂弟との切ない因縁を際立たせる見事なスパイスとして機能していました。