「これほど壊滅的なシーズンは過去30年で記憶にない」。イタリア・トスカーナ地方の生産者カルロ・ベルティ氏は、枯れかけたカサマツの樹皮をさすりながら溜め息をつく。2025年から続く深刻な雨不足と夏場の異常高温は、松かさの形成を直接阻害した。完熟して種子が採取できるようになるまで数年を要する樹木だけに、ダメージは来期以降にも及ぶ見込みだ。
一方、世界最大の供給源の一つであるロシアや中国北部の針葉樹林帯でも事態は深刻である。春先の寒の戻りと害虫の大量発生によって、収穫量は平年の4割近くまで落ち込んだ。需要が跳ね上がる一方で供給の蛇口が締まるという、典型的な需要過多の構図が世界規模で立ち現れている。