「たかが切れ痔」と侮り慢性化させた結果、最終的に狭窄を広げる外科的手術(側方内括約筋切開術や皮膚弁移動術など)を余儀なくされる患者は後を絶たない。しかし、切れ痔とは本来、適切な初期治療と環境整備さえ行えば、メスを入れずに治せる可能性が極めて高い疾患である。
大腸肛門病診療ガイドラインに基づき、現在スタンダードとなっているのは、痛みの緩和と便通の改善を両輪とした保存的治療だ。局所麻酔成分や抗炎症作用を持つ軟膏による局所ケアはもちろん、内括約筋の過度な緊張(スパズム)を和らげて患部の血流を改善する外用アプローチが選択される。血流が保たれることで、裂けた組織の修復スピードは劇的に向上する。
医療従事者向けポータルサイトm3.comなどの最新レポートでも、便の硬さをミリ単位でコントロールする新規の下剤処方や、肛門管圧を適正化するアプローチの有効性が数多く報告されている。手術という選択肢を避けるための防波堤は、まさにこの保存療法の徹底にある。