母親役の需要は、温かいキャラクターだけに留まりません。近年、サスペンスや社会派ドラマで注目を集めているのが、子どもを心理的に追い詰める毒親役の50代女優が見せる演技力です。
江口のりこや麻生祐未、坂井真紀といった実力派バイプレイヤーたちは、過干渉や無関心、歪んだ愛情を持つ母親を凄みのある芝居で演じ切ります。ただ悪役として演じるのではなく、「なぜその母親がそうなってしまったのか」という哀哀や病理まで滲ませることで、ドラマ全体のサスペンス性を何倍にも引き上げます。彼女たちの怪演があってこそ、若手主人公の葛藤や脱却のドラマが鮮烈に際立つのです。