真夏の夜風が頬をかすめるとき、秋田の街は異様な緊張と高揚感に包まれる。その中心にあるのが、国の重要無形民俗文化財にも指定されている伝統芸能の最高峰、秋田竿燈まつりだ。高さ十数メートル、重さ50キロにも及ぶ巨大な竿燈を、差し手たちが手のひら、額、肩、腰へと乗せ換えていく。妙技が決まるたびに観客席から上がる割れんばかりの歓声。揺れる提灯の灯りは、まるで黄金色に実った稲穂が夜空に浮かび上がったかのような幻想的な光景を描き出す。
そして、日本の花火師たちがプライドのすべてを賭けて挑む全国花火競技大会(大曲の花火)も見逃せない。単なるエンターテインメントではない。技術、色彩のグラデーション、音楽とのミリ秒単位のシンクロ。大曲の河川敷で打ち上がる一発一発には、職人たちの執念が宿っている。轟音が腹の底に響き、視界全体が光で焼き尽くされるあの瞬間、日常の悩みなど一瞬で吹き飛んでしまう。