法月仁の行動原理の根幹には、常に氷室聖の存在があります。二人はかつて、エーデルローズで同じ夢を追いかけた同期であり、プリズムキングの座を争う最大のライバル関係にありました。しかし、天性の煌めきと純粋さで観客を魅了する聖に対し、仁は激しい劣等感と嫉妬を募らせていきます。
決定打となったのは、公式記録にも残るプリズムキングカップ選考における悲劇です。仁は聖の圧倒的な才能に恐怖し、ステージに細工を施す卑劣な手段で聖の選手生命を奪いました。しかし、肉体を破壊してもなお聖の魂を屈服させることはできず、仁の心には拭い去れない敗北感と乾きが刻み込まれる結果となったのです。
父・法月皇が自分ではなく聖の才能を愛していたという歪んだトラウマも重なり、仁にとって氷室聖を完全に叩き潰すことは「自らの存在証明」そのものとなりました。シュワルツローズの設立は、聖が引き継いだ弱体化エーデルローズを完膚なきまでに叩き潰し、自らの美学こそが絶対であると世界に知らしめるための復讐劇だったといえます。