長嶋茂雄の愛人疑惑と噂の真相|週刊誌報道と田園調布の家族の今

長嶋茂雄の愛人疑惑と噂の真相|週刊誌報道と田園調布の家族の今

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長嶋茂雄氏に関する「愛人疑惑」がメディアを騒がせた最大の契機は、2007年9月に妻・亜希子夫人が心不全により64歳で急逝した前後の時期に遡ります。それ以前からも、昭和のスター選手特有の華麗な夜の交遊録や銀座のクラブ通いが週刊誌等で取り沙汰されることはありましたが、家庭を揺るがすような決定的なスキャンダルとして報じられたことはほとんどありませんでした。

事態が一変したのは、2004年に長嶋氏が脳梗塞で倒れ、右半身の麻痺と言語障害を抱えてからのことです。過酷なリハビリ生活を支え、個人事務所「オフィスエヌ」の代表として対外的な窓口を一手に対処していた亜希子夫人が突然この世を去ったことで、田園調布の自宅には大きな空白が生じました。そこで長嶋氏の身辺警護、日常の食事、投薬管理、そしてリハビリの補助を担うために専従のスタッフが配置されることになります。

このとき一部の女性週刊誌や写真週刊誌がスクープとして報じたのが、「長嶋邸に出入りする謎の女性」「ミスターを囲い込むお手伝いさん」という扇情的な見出しでした。報道各社の記事では、あたかも家族を排除して長嶋氏の身の回りを独占し、特別な男女関係にあるかのように描かれたため、世間には「長嶋茂雄の愛人説」として急速に認知が広がってしまったのです。

しかし、当時の取材記録や関係者の証言を丹念に洗い直すと、実態は大きく異なります。渦中の女性とされた人物は、亜希子夫人の生前から個人事務所に関わっていた信頼の厚い女性マネジメントスタッフ、あるいは専門の医療・介護資格を持つプロフェッショナルな介助職員でした。重度の後遺症を抱える高齢者が、24時間体制で複数の専門スタッフに身辺を委ねるのは介護の現場では至って標準的な光景です。それが「ミスタープロ野球」という巨大なネームバリューと結びついた結果、ゴシップ記事特有の誇張によって「愛人疑惑」へと歪められて伝播していったのが報道の真相です。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。