ここで一つの疑問が生じる。スクリーンで狂い咲いたあの暴力的な言葉遣いは、実際の広島県で日常的に使われている言葉なのだろうか。答えは「イエスであり、ノーでもある」。
実際の広島弁は、温かみがあり、非常に情緒豊かな方言である。日常会話における「〜じゃけぇ」や「〜してみんさい」は、親しみを込めた柔らかなニュアンスを伴う。しかし映画制作陣は、呉市周辺の軍港町特有の荒っぽい港言葉や、当時の極道組織内で使われていた隠語をピンポイントで抽出。それを劇的な演出として強調・デフォルメした。現地の人々からすれば「あそこまで荒々しくはない」と苦笑しつつも、映画がもたらした強烈な文化的大波に圧倒されることとなった。