日常会話では別物として区別される蛾と蝶ですが、生物学的な違いを突き詰めると、実は明確な分類上の境界線は存在しません。昆虫分類学において、両者はともに鱗翅目(チョウ目:Lepidoptera)という同一のグループに属しています。
鱗翅目全体でおよそ16万種以上が存在すると推定されていますが、そのうち「蝶」と呼ばれるのは全体のわずか1割程度(約1万8000種)に過ぎません。残りの約9割はすべて「蛾」に分類されます。
チョウとガの進化と分類の歴史を辿ると、もともと夜行性だった原始的な蛾の仲間から、花の蜜を効率的に吸うために昼間の明るい環境へと適応・進化した一派が、現在の蝶と呼ばれるグループを形成したと分かっています。つまり学術的な立ち位置としては、「広大な蛾のグループの中から派生した特殊な昼行性の一系統が蝶である」と捉えるのが正確です。