法廷を舞台にした名作『リーガル・ハイ』において、古美門研介に実在のモデルが存在するのかという議論は絶えない。脚本を担当した古沢良太は特定の人物を公言していないものの、業界関係者の間では複数の著名な実務家の特徴が巧みにモザイク状に合成されていると囁かれている。
例えば、企業法務で莫大な報酬を得ながら圧倒的な勝率を誇る渉外弁護士の冷徹さや、刑事弁護において検察側の証拠の綻びを徹底的に突いて無罪を勝ち取る武闘派弁護士の執念である。また、古美門法律事務所の豪華絢爛な調度品や美食への執着、執事の服部が振る舞う料理といったディテールは、ハードな法廷劇を極上のエンターテインメントへと昇華させるための装置として綿密に設計された。
黛真知子というキャラクターもまた、理想論に燃えて現実に打ちのめされる多くの若手実務家の投影であり、対照的な二人の対立構造そのものが、司法の抱える永遠のジレンマを可視化している。