転送先が「病院」なのか「介護施設」なのか「在宅」なのかによって、相手が初日に最も欲する情報は根本から異なります。現場ですぐに転用できる実践的な看護サマリーテンプレートと状況別の看護サマリー例文を紹介します。
1. 急性期から回復期・療養病床へ:看護サマリー転院用例文
病院間の転院では、医療処置の継続性とリハビリテーション耐性、病態の安定度が最優先事項となります。
【看護サマリー転院用例文】主病名:
右ラクナ脳梗塞、高血圧症
入院経過:2026年〇月〇日、左上下肢の脱力感にて救急搬送。rt-PA療法適応外、抗血小板薬点滴にて保存的加療を開始。〇月〇日より経口内服へ移行し、病態は安定して推移。
現在のADL・ケア:移乗・移動は車椅子自操(院内自立)。左片麻痺(上肢Brunnstrom stage Ⅳ、下肢Ⅴ)残存するが、平行棒内歩行見守りレベル。排泄はポータブルトイレ誘導にて日中自立、夜間はコール対応にて介助。食事は常食、自力摂取可能(左手補助具使用)。
看護上の問題点と注意点:「立位時のふらつきによる転倒リスク」。病識はあるが、夜間排泄時に自己過信からナースコールを押さずに単独離床を試みる傾向があるため、夜間訪室強化とセンサーマットを併用中。リハビリ意欲は高く、回復期病棟での積極的な歩行訓練継続を希望している。
2. 自宅復帰・在宅療養へ:退院時サマリー書き方(訪問看護向け)
在宅復帰を支える訪問看護サマリーの書き方では、家族の介護力や生活環境(段差、手すり)、使用している介護保険サービスとの連携情報が鍵となります。
【訪問看護向け看護サマリー例文】主病名:
誤嚥性肺炎後、要介護3
治療経過:抗菌薬治療終了し、炎症反応・胸部X線所見ともに改善。主治医より退院許可。
現在の生活機能・処置:食事は嚥下調整食(コード3)にて毎食6〜7割摂取。とろみ付け必須。経口摂取後の口腔ケアと30分程度の座位保持を実施中。HOT(在宅酸素療法)は安静時1L/min同調にてSpO2 95%前後を維持。
在宅生活への申し送り事項:主介護者は70代の配偶者であり、夜間の吸引操作や体位変換に不安を抱えている。退院直後は訪問看護による定期的な呼吸状態の観察、および家族への吸引手技・とろみ調理指導の継続が必要。本人・家族ともに「自宅の畳の部屋で家族と過ごしたい」意向が強い。
3. 介護老人保健施設へ:老健向け看護サマリー
生活リハビリと入所生活の適応を目的とする老健向け看護サマリーでは、認知機能、コミュニケーション特性、集団生活における行動パターンを重点的に記述します。
【老健向け看護サマリー例文】主病名:
アルツハイマー型認知症、大腿骨頸部骨折術後
生活・介護状況:術後リハビリ順調、歩行器にて平地歩行自立。見守り下でトイレ排泄可能だが、下着の汚染認識が薄く、定時(毎食後)の誘導と声かけが有効。食事は一般食、自立。
認知・行動の特徴:短期記憶低下が顕著(HDS-R 14点)。夕方16時以降に「子どものご飯を作らなければ」と帰宅願望(夕暮れ症候群)が出現しやすい。否定せず共感し、洗濯物たたみなどの役割活動を促すと30分程度で落ち着きを取り戻す。家族は週1回の面会を希望している。