猗窩座のビジュアルは一見すると獰猛な武闘派の記号で埋め尽くされているように見えますが、原作者・吾峠呼世晴先生による設定の作り込みを知ることで、イラストを見る視点は180度変化します。ネット上で単なる「かっこいいタトゥー」と誤解されがちなデザインには、実は哀しすぎる真実が隠されています。
全身に刻まれた藍色の縞模様は、人間時代に罪人として彫られた「罪人の墨(入れ墨)」が鬼化によって拡張したものです。盗みを働いた罪で両腕に三本ずつ入れられた墨が、全身を覆う呪縛のように広がっています。さらに、猗窩座が放つ「術式展開・破壊殺 羅針」の陣は、恋雪の髪飾りであった「雪の結晶」の形そのものであり、技名(乱式、空式、滅式など)はすべて恋雪と見た花火の名前から名付けられています。
つまり、猗窩座は記憶を失って鬼となりながらも、最愛の女性との思い出を無意識のうちに武術の核として刻み続けていたのです。この設定の凄惨さと美しさを理解している神絵師ほど、術式展開を描く際に冷徹な青色の中に淡いピンクや花火の煌めきを密かに忍ばせるなど、重層的な演出を施しています。