ネット上の情報やSNSの相談窓口で頻繁に見受けられるのが、「寒暖差アレルギー」と「物理性蕁麻疹(寒冷蕁麻疹・温熱蕁麻疹)」の混同です。両者は日常的な呼び名としてひとくくりにされがちですが、皮膚内部で起きている現象と危険度には明確な境界線が存在します。
一般的な寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎の皮膚症状)は、毛細血管の自律神経性コントロール不全が主体であり、皮膚表面が部分的に赤くなったり粉を吹いたようにカサついて痒くなったりします。一方で、「寒冷蕁麻疹」や「温熱蕁麻疹」は、寒冷刺激や温熱刺激そのものがマスト細胞(肥満細胞)を直接刺激し、大量のヒスタミンが局所へ放出されることで生じる物理性蕁麻疹です。この場合、蚊に刺されたような境界明瞭な「膨疹(ミミズ腫れ)」が出現し、激しい熱感やかゆみを伴います。
特に注意を要するのが寒冷蕁麻疹です。重症例では、冷たいプールに入ったり冷水シャワーを浴びたりした際に全身性のヒスタミン遊離が起き、血圧低下や呼吸困難などアナフィラキシー様症状を引き起こす危険性があります。単なる「ムズムズするかゆみ」ではなく、はっきりとした皮膚の盛り上がり(膨疹)が出現している場合は、寒暖差アレルギーではなく物理性蕁麻疹を疑い、早期に専門医の診察を受ける必要があります。