真宗大谷派は、鎌倉時代前期の僧・親鸞聖人(1173〜1262年)を開祖と仰ぐ浄土真宗の一派です。親鸞聖人は自ら新たな宗派を立ち上げる意図はなく、師である法然上人の教え(浄土宗)を純化させ、ひたすら阿弥陀仏の救いを信じる道を説きました。その後、室町時代に第8代宗主・蓮如上人の卓越した布教によって教勢が全国へ爆発的に拡大し、現代に至る強固な基盤が築かれました。
大谷派の信仰の中核にあるのは「他力本願」と「悪人正機」の教えです。人間は自らの力(自力)で煩悩を断ち切って悟りを開くことはできない無力な存在であり、そうした愚かな衆生こそを救おうとする阿弥陀如来の本願力(他力)にすべてを委ねます。口に唱える「南無阿弥陀仏」は、救いを求める呪文やお願い事ではなく、「阿弥陀仏の救いの中にすでに生かされていることへの感謝の念仏」を意味しています。
真宗大谷派の本山は、京都市下京区にある東本願寺(正式名称:真宗本廟)です。世界最大級の木造建築物である「御影堂(ごえいどう)」には親鸞聖人の御真影が安置され、隣接する「阿弥陀堂」には本尊である阿弥陀如来立像が祀られています。大谷派に属する信徒は、一般的な仏教で使われる「檀家(だんか)」ではなく、同じ教えを共有する仲間という意味を込めて「門徒(もんと)」と呼ばれます。
文化庁が発行する『宗教年鑑』の最新統計によると、伝統仏教における浄土真宗系寺院は全国で約2万ヵ寺存在し、そのうち真宗大谷派は約8,400ヵ寺、信徒数は約700万人規模を誇ります。浄土真宗には全10派(真宗十派)が存在しますが、その二大勢力として双璧をなしているのが「真宗大谷派(お東)」と「浄土真宗本願寺派(お西)」です。