結論から申し上げますと、オレンジのバラに怖い花言葉や不吉な裏の意味は存在しません。日本国内の花卉業界や欧米の伝統的なフローリオグラフィー(花言葉体系)を紐解いても、オレンジのバラに充てられているのは「絆」「信頼」「誇り」「情熱」「愛嬌」「健やか」といった、温かな人間関係を祝福する言葉ばかりです。
では、なぜネット上では「怖い」という噂が絶えないのでしょうか。フラワーギフトの流通現場を取材すると、3つの誤解ルートが重なり合っていることが判明しました。
第1の要因は、黄色いバラの花言葉との混同です。黄色いバラには古くから「友情」「献身」といった明るい意味がある一方、西洋の歴史的文脈(特にビクトリア朝時代)において「薄らぐ愛」「嫉妬」「裏切り」「不貞」という強烈なネガティブシンボルが付与されてきました。店頭やカタログに並ぶ中間色、例えばイエローからオレンジへのグラデーションを持つ品種(アプリコット系やサーモンピンク系)を目にした消費者が、「黄色の不吉な意味がオレンジにも及んでいるのではないか」と連想を膨らませてしまった経緯があります。
第2の要因は、「赤の情熱」と「黄色の疑惑」が交配された歴史的背景にあります。植物学的にオレンジのバラは、19世紀末から20世紀初頭にかけて赤バラと黄バラを人工交配することで誕生した比較的新しい系統です。誕生初期、一部の愛好家の間で「激しい愛(赤)が冷めかける前兆(黄)の混色ではないか」といった文学的な邪推がなされた名残が、現代の都市伝説的なネット情報として断片的に拾い上げられたと考えられます。
第3の要因は、「本数」や「部位」がもたらす別の意味です。バラは色だけでなく「本数」や「トゲの有無」によって意味が激変します。例えば「15本のバラ」は色に関係なく「ごめんなさい(謝罪)」を意味し、「しおれたバラ」は「儚い愛・失望」を表します。色そのものの意味と、状態や本数の警告がネット上で無秩序に混ざり合った結果、「オレンジのバラには裏の意味がある」という誤った言説が一人歩きしてしまったのが真相です。