顔の印象を決定づける最大の要因は、メイクアップの哲学そのものが180度転換した点にある。
「楽器を持たないパンクバンド」時代、彼女の顔面は戦闘用のキャンバスだった。太く跳ね上げられたアイライン。感情を爆発させるための激しいリップ。汗と涙でぐちゃぐちゃに崩れることを前提とした、攻撃的かつ自虐的なメイクスタイルが代名詞だった。それが彼女のトレードマークであり、観客を殴りつけるようなパフォーマンスの武器だったのだ。
対して現在の彼女は、過剰な装飾を削ぎ落とす「引き算」の極致にいる。陰影を活かしたミニマルなベースメイクに、自眉の毛流れを際立たせたアーチ。アイラインで目を囲むのをやめ、瞳が持つ本来の引力に任せるようなスタイリングが目立つ。輪郭を隠すのではなく、むしろ骨っぽさを堂々と晒すその佇まいが、見る者に「顔立ちそのものが劇的に変わった」という錯覚を与えている。